no-image

出自を知る権利の行使時期

「出自を知る権利」とは、精子提供や卵子提供(以下「配偶子提供」)で生まれてきた子どもが、ドナーである自分の遺伝上の父/母を知る権利です。配偶子提供で生まれた子どもの中には、出自を知りたいと思う子が一定数いることが知られており、そのためにこのような権利があるという発想が生まれています。そのため、配偶子提供を受ける際には、ドナーが出自を知る権利を保証しているかどうかを必ず確認すべきです(私は出自を知る権利を保証しています)。

しかし、ドナーを知るということは、必ずしも良いことばかりとは限りません。ドナーの欠点を知ってしまったり、価値観の違いを知ってしまったりして、子が「こんなことなら会わなければ良かった」と考える可能性もゼロではありません。ドナーを知ってしまった後に、知らなかったことにはできません。出自を知る権利を行使すべきかどうかは、慎重に判断すべきです。

そのため、出自を知る権利は「成人後」に発生すると考えられることが多いです。十分な判断能力があり、自己の行動に責任が負える成人後に自己判断でドナーと会うのであれば妥当である、という考えに基づきます。私も、生まれた子と会うのは基本的には成人後でお願いしています。

出自を知る権利は子にとって極めて重要な権利ですが、リスクも存在するので、事前に親がそのことも教えておくべきでしょう。

お問合わせはこちらのページからお願いします。